のど
のど
のどは様々な場所で痛みを感じます。複数の箇所にまたがって痛みを感じていることも少なくありません。口蓋扁桃、咽頭扁桃、上・中・下咽頭、喉頭等です。痛みの原因は、ウイルス感染や細菌感染が主ですが、神経痛等のこともあります。
のどは外界の異物が接する機会が多い場所なので敏感です。軽い炎症が起こったり、のどに神経が集中したりすると、イガイガした感じや何かが張り付いている感じや詰まっている感じ等々が起こることがあります。炎症等の原因がなくなっても症状だけ残ることもしばしばです。また、逆流性食道炎関連でのどに胃酸の逆流がおこることで違和感が続くこともしばしば見られます。
一方で、腫瘍等の困った病気でのどに違和感を感じるようになることがあります。普段と違う感覚であったり、症状が徐々に強くなったりするようなら、早めに耳鼻咽喉科で診てもらうことをお勧めいたします。最近の内視鏡検査は、ほぼ苦痛なく詳細な検査ができます。
声がかれる原因は様々です。代表的な病気の声帯ポリープは、皆様も耳にしたことがあると思います。声帯ポリープ以外にも、ポリープ様声帯や声帯溝症、反回神経麻痺、腫瘍等が声がれの原因になります。このうち、注意が必要なのが、反回神経麻痺と腫瘍です。反回神経麻痺は様々な原因で起こり、その原因の中には腫瘍もあるからです。
いびきがひどいだけでは、ご本人の健康上は何ら問題ありません。しかし、開口していたりすると、翌朝ののどの痛み(軽い炎症)に繋がります。また寝苦しかったり、翌日に眠気が強かったりするのであれば、睡眠時無呼吸を一緒に起こしているのかもしれません。一度検査することをお勧めいたします。
咽頭の炎症です。のど風邪をひいてのどが痛いときは大概がこの急性咽頭炎になっています。原因としてはウイルス感染がほとんどですが、溶連菌と言われる細菌やマイコプラズマや淋菌などの細菌感染やクラミジアが原因のことがあります。ウイルス感染に細菌感染が続発して混合感染になることも少なくありません。
注意が必要なのは、自覚的なのどの痛みの位置と実際に炎症が起こっている場所は意外と違っていることです。
喉頭の炎症です。原因の多くはウイルス感染ですが、ウイルス感染に細菌感染が続発して混合感染になることも珍しくありません。声の使いすぎやアレルギー反応、放射線治療等の非感染性の炎症も珍しくありません。
症状としてはのどの痛みや違和感、声がれ、咳等です。炎症の場所が声帯か、声帯の上か、声帯の下かで症状が異なります。
急性喉頭蓋炎や喉頭浮腫は、急速に悪化する場合があります。その時には窒息してしまうことがあり、緊急を要する病気です。注意が必要なのは、自覚的なのどの痛みの位置と実際に炎症が起こっている場所は意外と違っていることです。
多くは口蓋扁桃の炎症です。以前は細菌感染が主な原因と考えられていましたが、近年ではウイルス感染の関与が考えられています。中でもEBウイルスやサイトメガロウイルスは口蓋扁桃のみならず咽頭扁桃や咽頭にも強い炎症を起こし、嚥下痛が強くなります。また、頸部リンパ節や肝臓等々にも強い影響を及ぼします。
細菌感染性の扁桃炎には抗菌剤を使います。ウイルス感染には通常は特効薬がないため、対症療法が主体となります。炎症が強ければ点滴も行います。
急性炎症を反復する場合には口蓋扁桃摘出術等の外科的療法も考慮されます。しかしながら、繰り返す炎症が口蓋扁桃にとどまっていない場合には口蓋扁桃だけを摘出しても症状が残ってしまいます。
口蓋扁桃とその隣にある筋との間に膿がたまった状態です。痛みが強く、嚥下痛で嚥下をしづらくなります。体温も39℃より上がることもあり、全身が消耗します。急性扁桃炎発症後3-4日で続発することが多いです。急性扁桃炎は早めの治療が大切です。重症であれば入院加療となります。穿刺や切開で排膿することが大事です。
声帯の前から2/3は、発声時に一番振動が大きくなります。ここに血豆ができたり、袋状に水がたまったりして盛り上がった状態がポリープです。左右声帯の合いも悪くなり、声帯の振動も悪くなって声がれになります。通常、痛みはありません。保存的加療で改善しなければ、外科的療法の適応となります。再発することが珍しくありません。いずれの治療でも、声の安静が大切です。
声帯を動かす神経の一つに反回神経があります。右側は鎖骨動脈まで下がってから上行して喉頭に入り、左側は大動脈弓まで下がってから上行します。左側は右側によりも走行距離が長いため、障害される可能性が高くなります。反回神経が障害される(麻痺する)と声がれになります。ひどいと声が出なくなります。
反回神経麻痺の原因は様々です。最も高頻度なのは甲状腺等の術後で、次いで特発性(原因不明)、胸部の病気(肺腫瘍等)、挿管後(全身麻酔の時に口や鼻から気管に管を通す)や甲状腺腫瘍等の頸部の病気です。